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随想録

随想録のご紹介

これまでの間、大過なく過ごせたことは、諸先輩、関与先や依頼者、友人・知人、家族を始め、多くの方々のご指導・ご支援のお陰と、改めて感謝の気持でいっぱいです。
日頃の出来事や体験などを、時折雑感として纏めています。自身のプロフィールの一環として、ご紹介をさせていただきます。


座右の銘

座右の銘とする言葉をいくつかご紹介したいと思います。
まずは、私の好きな言葉から、「明るい性格は、財産よりもっと尊い」。米国の鉄鋼王といわれたカーネギーの著書にある言葉です。
私がよく引用する「慶雲応輝」((慶雲 輝きに応ず)と云う言葉があります。
辞書に「慶雲」とは、お目出たい兆しがあるところに 湧き出でる雲とありました。
元気で生き生きと活躍しているところには、自然と慶雲が湧き立ち、人の輪が出来て、周囲を幸せにするエネルギーを与えるのではないかと自己流に解釈しています。
お客様が元気になって、ご自身やご家族、会社の上に慶雲が湧き立つようなお手伝いができれば、私自身にとっても慶雲が近づいて来るのではないかと思っています。ロータリーの大先輩から教えていただいた言葉です。
もう一つは、「三方よし」。言わずと知れた近江商人の人生訓、即ち「売手よし、買手よし、世間よし」です。
特に、世間よしは、簡潔で含蓄のある素晴らしい言葉だとと思います。売手と買手の二人の間で儲けがあればよしとするのでは、商売は長続きしないのです。それは、全国を行商した近江商人が会得した商売の道といえるでしょう。これは、私どもの仕事にも、社会一般にも当てはまる考え方ではないでしょうか。問題の解決には、争いの当事者二人にとってだけ良い解決というだけでは、まだ本当の解決にはなりません。それは同時に、世間である周囲や社会からも受け容れられ、適正だと評価されるものでなければならないという教えでもあると思います。
ほかにも好きな言葉がいくつかありますので、次の機会に続けたいと思います。


令和4年 夏 「奇跡の一本足」

コロナ騒ぎも一段落の感、ようやく緊張感から解放された生活に戻りつつある。先日、熊本市を訪ねる機会があった。思い返せば6年前の熊本地震、ロータリークラブの支援として震災直後の市役所を訪問したが、それ以来の訪問となった。熊本城の本丸は既に元の美しい姿を取り戻したが、当時「奇跡の一本足」として話題となった「飯田丸五階櫓」は、当時市役所の窓からは鉄骨で倒壊しないようを支えられた姿を覚えている。今は解体され、再建の時を待って倉庫に眠るという。崩れた石垣の石に番号をつけ、コンピューターで元の位置を再現ながら数年をかけて組み上げ、元の姿に再建する計画と伺った。城の周りは回廊式の遊歩道ができ、まだ崩れたままの石垣の痛々しい姿、復興工事のあり様をつぶさに見学できる。案内してくださったボランティアの方に尋ねると、完全に復旧するまで20年はかかるだろうとのお話、それまでお互い元気で見届けましょうと言葉を交わしてお別れをした。
緑に映える城跡は、地元の誇りだろう。気の遠くなるような復興事業だが、熊本の青い空と強い日差しを受けながらも、地元の熱い心意気を感じ、コロナに負けていられるかと少し元気を頂いた気がした。


令和3年 冬 「やるね墨田区」

新型コロナの流行も、ここに来て落ち着きを取り戻しつつある。海外では新たな変異株とやら、引き続き予断を許さないが、明るい兆しも見え始めた。
振り返ると、フリップを掲げてテレワークとかステイホームなどとお役所のお願い攻勢に明け暮れた一年だったように思う。そんな中、我が住まいの墨田区が、迅速な対応に総理や厚労大臣が視察に訪れるほど高い評価を受けたのは、地域住民として鼻が高い。
医師である保健所長が率先して取り組んだ地元医師会、薬剤師会、基幹病院などとの連携体勢、支える区長、通年議会で迅速な予算編成に対応した区議会など、地域ぐるみ協力し合う下町の底力が発揮されたと想像している。
地元の自慢をもう一つ。学校ITC化でも先進区と評されているが、ここ数年区内小・中学校の学力が確実に向上しつつある。先生方の熱意とコロナ禍での児童・生徒の頑張りにも、大きなエールを送りたい。
手前味噌の話はこれくらいにして、とにかく健康維持に留意しつつ、自身も努力しながらもう少し地域の発展と子どもたちの未来を見守りたい。


令和3年 夏 「東ロボ君」

ワクチン接種とともに安心感が広まりつつあるが、まだ予断を許さない緊張が続く。数年来、地元の区立小・中学校の運営をサポートする教育委員を担当している関係で、子供たちと接する機会がある。コロナのさ中、遠足や修学旅行、運動会も侭ならない子供たちが明るく頑張る姿に、今何が出来るか思いを巡らす。リモート学習に対応するため、コロナを機に全ての小・中学校で生徒一人に一台、I・Padが行き渡った。学校現場の試行錯誤は続くが、着実にデジタル化が進行しつつある。その背景には、高度情報化社会の進展で、早晩今の仕事の大半はAIが取って代わると云われる時代の到来、将来の人材育育成に向けた新たな学習を模索する取り組みでもある。
「東ロボ君」(東大入試合格を目指すAIロボット)開発を手がける気鋭の数学者 新井紀子教授は、ベストセラー「教科書が読めない子どもたち」のなかで、AIを知れば恐るに足らぬと指摘する。プロ棋士との対戦に勝ち、瞬時に好みのレストランを探し出してくれる優秀なAI君と思いきや、彼は答えが正しいか否かではなく、過去の膨大なデータ(ビッグデータ)から統計的に正答率の高いものを計算して抽出しているに過ぎない。いかにも弁えた風に振る舞うが、計算が得意なだけで、悩んだり考えたりしているわけではないのだ。何が正しく、何故正しいのかの価値判断は、今のところ人間にしか出来ないのだそうだ。新井教授によると、AIに負けないためには、今の子供たちに文章の読解力と数学の基礎知識をしっかり身につけてほしいという。深い学びのために、「読み書き算盤」は、基礎の重要性を説く上で、今に通用する大切な教えのようだ。
コロナ禍が終息した後に、社会はどのように進んでいくのだろう。子供たちを取り巻く環境が、少しでも明るく輝かしいものになることを切に願い、ささやかながらお手伝いが出来たらと思う。


令和2年 冬 「ひまわりと天秤」

春先からの新型コロナウイルスの流行、まだ予断を許さない事態が続くが、一日も早い終息を願う。
今年は弁護士登録四五年目に当たる。これまで大過なく過ごせたことは、皆様のお力添えのお陰と感謝に堪えない。
弁護士バッジについて一言。テレビドラマで活躍する弁護士役の胸には金色のバッジが光る。ひまわりの中心に小さな天秤ばかりがある。業界団体の日弁連から無償貸与されるので、本来大切にすべきところだが、目立つことを嫌う同業者間では、わざと表面をこすって金色のメッキを落としたり、普段は裏返したりと、案外ぞんざいに扱われているようだ。 実は裏には番号が刻印され、悪用を防ぐためか落したりなくしたりすると、一筆差し入れて再発行をお願いしなければならない(官報にも公告される)。
もう一言。先日読んだ本にこんな逸話が載っていたのでご紹介したい。かつてリンカーンは、あるとき友人が推薦した人物を閣僚に採用しなかった。その理由は「顔が好きでないから」という。顔には責任がないではないかと問われると、リンカーン曰く「イヤ、そうでない。40歳以上の人間は、自分の顔に責任がある。」と。その心は? 何かを成し遂げた人の容貌には、どこか凡庸でない気品と風格が自ずと備わるはものだと言いたかったのであろうと解説にあった。
さて、責任が取れる顔か自身を鏡に映して自問自答しきり。幸い健康を維持しているので、それなりの顔を目指して今暫く精進しようと思った次第である。


令和2年 夏 「いつかブラ旅」

春先からの新型コロナウイルスの流行という想定外の事態。外出自粛や自宅待機の間、普段出来ないことを手がけようと試みたものの、差し当たり読書や片付けなどの他これと言って想いつく時間の過ごし方には限りがあるようだ。テレワークに始まり世の中の変化はこれからどこに向かい、先の見えない手探りの旅はいつまで続くのだろう。
旅を愛し自然を愛した歌人、若山牧水は詠う。
「幾山河 越えさり行かば 寂しさのはてなむ国ぞ 今日も旅ゆく」
これまで空白が目立ったカレンダーや手帳には、ぽつぽつ会合や行事の書き込みが入り出した。雪解け間近の芽吹きを待つ心境にも似て、一日も早く思い立ったらぶらりと旅に出られる日が到来することを願う。再び書き込みにキャンセルの横線を入れる事態はもうご容赦願いたい。
当面は三密を避け、マスク、手洗いの励行など準備万端怠りなく取り組むことで、家族、友人や仲間同士、気兼ねなく集まり、大声で笑い会える日常の来たらんことを切にご祈念申し上げる次第である。


令和元年 冬 「スマイリング・シンデレラ」

新元号への改元、新天皇・皇后両陛下の即位の礼、大嘗祭と、歴史的行事も滞りなく済み、令和最初の年も残り少なくなった。振り返ると、この一年光陰矢の如く、時の経過の早さをひしひしと感じる。
ところで、今年はスポーツ選手の活躍に湧いた年でもあった。今年の流行語大賞には、ラグビー・ワールドカップでの日本チームの合い言葉 「ワン・チーム」 が選ばれた。心を一にして快進撃を続けた日本チームの活躍に日本中が沸いたのは記憶に新しい。
もうひとつ、多少嗜む身にとって、42年ぶりに海外メジャー制覇を果たした「スマイリング・シンデレラ」こと 渋野選手の活躍もうれしい話題だ。21才の物怖じしない思い切りのよいプレーとこぼれる笑顔で、見る者を魅了した。
来年はオリンピック・パラリンピックが開催される年度、世界のアスリートの活躍が間近に見られるのは、これまた幸せなことだ。若者が一途に目標に向かうエネルギーとさわやかな明るさは、同時に令和の時代の明るさを感じさせる。
因みに、流行語大賞の特別賞には、大リーガー イチローの引退会見の言葉、「後悔などあろうはずがありません」が選ばれたそうだ。僭越ながら、自身でも爽やかにそう言い切れるよう、及ばずながら努力と精進を重ねたいと思った次第である。


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